キング・クリムゾンのディシプリンはエイドリアン・ブリュー!

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この記事はロックバンド:キング・クリムゾンに関するものとして、ブログのサイトでリリースしていました。

ディシプリン

こんにちは、ロック研究科の青田ちひろです。
40年以上、ロックミュージックに接しており、1970年代、1980年代の華やかだった頃をリアルタイムで経験しています。その頃の独特の空気感も合わせてお伝えしたいと思いこの記事を書きました。

今回はキング・クリムゾンの転換点に当たる1980年代を取り上げます。英国プログレッシブ・ロックの雄、キング・クリムゾンにアメリカ人天才ミュージシャンのエイドリアン・ブリューが加入し、どのように変わっていったのかを説明しています。

ディシプリン&インディシプリン(ブリューのキング・クリムゾン)

英国のロックバンド:キング・クリムゾンはレッドゾーンまで振り切れ、終わりました。

キング・クリムゾンは終わっていた?

クリムゾンキングの宮殿 はまさに怪物アルバム。
5曲は永遠のマスターピース!

ポセイドンの目覚め は彼らが去らなければ、宮殿に匹敵する名盤になったはず。
マクドナルド&ジャイルズでもうかがい知れる。
フィリップ自身が代わりに俺が辞めるから、と、引きとめた彼ら!

リザード は方向転換を図った一枚。
アイランズ は静かな美しい一枚。
しかしシンフィールドも去った。

ラークズ・タン・イン・アスピック(太陽と戦慄) はそんな中生まれた奇跡の一枚。
ブラッフォードやウェットンが加入し復活をした。

スターレス(暗黒の世界)はまさに暗闇!
そして レッド で振り切れた。

※以下のアルバムジャケットは楽天のページにリンクしています。

ここでキング・クリムゾンは終わった

はずだった

終わっていたキング・クリムゾン

実際フィリップは、クリムゾンを作るつもりはなく
ディシプリンという新しいユニットを模索していた。

後年、皮肉にも同じ経緯をイエスがたどる。

ディシプリンは誰のバンド

キング・クリムゾンを レッド で終わったつもりのフィリップ翁、でも当時はまだ30代前半でした。
これから何をしようかという時に始めたのが次のプロジェクトです。

アメリカにいきのいい天才ギタリストがいました。
エイドリアン・ブリュー

と言っても、ロバート・フィリップより3つしか若くないのですけどね。

エイドリアン・ブリュー

この人が、いろいろやる!
元々、ザッパさんの所でやっていたぐらいなので、テクニック的には、折り紙つきの天才!
すでにこの時点で、ボウイやトムトムクラブにも参加済み。
トーキングヘッズの歴史的名盤「リメイン・イン・ライト」もこの人がいればこそのアルバムでした。

※以下のアルバムジャケットは楽天のページにリンクしていますが、リンク先ではアルバム取り扱いが終わったようです。

当時は
「クリムゾンにアメリカ人が?」などと言われましたが
この起用が大成功。
こののちクリムゾンはエイドリアン・ブリューなしでは語れなくなりました。

ディシプリンという名のバンド

さらに以前のメンバーであるブラッフォードさんに加えて、トニーレビンが参加します。

主要メンバーがそろい、ディシプリンというバンド名で活動を開始した、フィリップさん。
でも、アルバムを出した時には、キング・クリムゾン と言う名前にしちゃいました。

方向性はともかく、クオリティーの高さでクリムゾンの名前を付けて大丈夫と判断したみたいです。

今からは求道者

ディシプリンと言う言葉は、「訓練」とか「戒律」とか「規律」とかいう意味です。
原義は「弟子、門人の教育」で、もっと詳しく言えば「訓練」「鍛錬」「修養」「躾」「規律」「風紀」「統制」「懲罰」「懲戒」などきつい言葉が並びます。

非常に厳しい言葉ですが、バンド名にしようとしていたのですね。
フィリップさんは、クリムゾンが終って、何を目指したのでしょうか?

さまざまな解釈ができますが、この名前が示すように、凄まじく厳しいものだったのでないでしょうか。

バンドの姿勢が、まさに求道者

とはいえ、そこに入ってきたのがブリューさん。
アメリカ人の加入は多くのクリムゾンファンを驚かせました。

レッドまでの主要メンバーだったウェットンさんも当初はかなり否定しています。
クリムゾンをやるつもりじゃなかったので、そう言われても困るでしょうが。

求道者の面が一番出ているのはディシプリン2曲目の フレーム・バイ・フレームです。

運指の訓練のような早引き

この曲を、プログラミングではなく全部手弾きしているのですよね。
やっぱり、鍛錬ですね。

このような練習を毎日毎日毎日毎日繰り返していたところを想像すると壮絶です。
まさに修行のようなことをしていたのでしょう!

あかあおきいろ

キング・クリムゾンのこの三部作
すなわち
ディシプリン 1981年発表
ビート    1982年発表
スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー 1984年発表

ジャケットも非常に似通っています。
ディシプリンは赤地にグレイの図柄
ビートは青地にピンクの図柄
スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーは黄色に青の図柄

※以下のアルバムジャケットは楽天のページにリンクしています。

それぞれが特徴的な模様の図を配置し、バンド名とアルバムタイトルを表記しているそっけないと言えばそっけないジャケットです。

何しろキング・クリムゾンのアルバムジャケットは色々な意味で、複雑で特徴があります。

この三枚は、いたってシンプルであり、逆にそこがかえって印象に残ります。
特にビートとスリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーの高彩度の青と黄色はいやがうえにも目を引きます。

その点、ディシプリンの赤は少し濁っていますよね。

このあたりは、キング・クリムゾンではない予定で出発した影響かもしれません。

また、これらのアルバムは最初から3枚と決まっていたという説もあります。

ジャケットの共通性
メンバーチェンジをせずに3枚作成
コンセプトの相似性
発表間隔の短さ

確かに、ひとつにまとめていいような3枚。
そして、仕上げがスリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーですから。
最初から決まっていたのかも・・・と

インディシプリンな展開に

本当に発表は最初から決まっていたのでしょうか。

3部作の構想は?

ディシプリンに入っている曲にインディシプリンがあります。
意味は「不規律」です。
ディシプリンではないという意味ですよね。

この三部作って、ディシプリンな部分とインディシプリンな部分があると思います。
しかもその部分が段々と増えていっているようです。

思い出すのが、熱力学第二法則

エントロピーは増大する方に動き、発散する。
そのような3枚ではないでしょうか。

ディシプリンが最もまとまりがあると思います。
ビート、スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーと進むに連れ次第に発散していくような感じです。

しかし、それをインディシプリンで表現したのであれば、最初から発散してしまうように決められていたと見るのが自然かもしれません。

スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーを作る時に、どのような視点で作っていったのかが興味深いです。

ディシプリン

※以下のアルバムジャケットは楽天のページにリンクしています。

エレファント・トーク歌詞がすごいです。
歌詞がないというのか、いきなりインディシプリンな感じがするのだけれど、この曲をディシプリンの最初に持ってくるところがやっぱりフィリップさんらしいというか・・・

そしてフレーム・バイ・フレームでしょ。
ディシプリンな感じです。
更にマッテクダサイと続きます。
なぜここで日本語が?
とも思うのですが、エスニックな響きがするのでしょうか、彼らには?

インディシプリンも結構きつい曲です。
そして、セラ・ハン・ジンジード
かっこいい曲、このアルバムのベスト

シェルタリング・スカイ
流れるような、魅力のある不思議な曲。

そしてタイトルナンバーディシプリンですね。
バンド名にもしようとしていた、気合の入った一曲です。

ビート

※以下のアルバムジャケットは楽天のページにリンクしています。

ニール・アンド・ジャック・アンド・ミー
この時期のクリムゾンの典型と言っていいような、ブリューさんのボーカル炸裂。

何と言ってもハートビートなのですが、このアルバムは意外とヘビーです。
続いての サートリ・イン・タンジールもおとなしい入りながら、ハードに展開します。

ウェイティング・マン
一応ディシプリン的な、でも盛り上がりが今ひとつ。

ニューロティカ
これはきついナンバー、ボーカルの早口もすごいです。
そして美しいバラード曲の トゥー・ハンズをはさんでザ・ハウラー
これも、特徴ある曲ですよね。

ラストナンバーはレクイエム
それは誰のためのレクイエム?

スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー

※以下のアルバムジャケットは楽天のページにリンクしています。

タイトルナンバーのスリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーは名曲です。
ボーカルと演奏のバランスがとてもいいですね。

モデル・マンはきっちりとまとまった感じがします。

そして、スリープレス
緊張感があり、ハードな曲で、スティックがすごく、とにかくかっこいいです。

マン・ウィズ・アン・オープン・ハート
ボーカルが印象的なんですけど、リズムがキッチリとした曲です。
ヌアージ
この時期のクリムゾンのもうひとつの典型で、好き嫌いは分かれそうで、これはやっぱり、フィリップさんの趣味でしょうか?
インダストリー
前の曲と区別がつかずにいつの間にか始まっています。

アナログ盤ではここからがサイドBなのですが、連続で聴くのは、いいのか悪いのか疑問です。
ただ、この曲は大作で展開が往年のキング・クリムゾンという雰囲気なのが
ディグ・ミー
掘ってくれって言われても、何を掘るのでしょうか?
次の曲も引き続き・・・という感じで始まります。
ノー・ワーニング
さらに引き続き・・・という手法で、じっくり聴くと辛くなってきあます。
ディシプリンという言葉が蘇ってきて次の曲へ

あの曲のパート3

スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーに入っているラークズ・タン・イン・アスピック・パート3は反則です。

邦題は 太陽と戦慄パート3 です。
それをここでやってしまえば、当然パート4以降も許されるわけで、実際にこれ以降のアルバムで
やっています。

パート4はザ・コンストラクション・オブ・ライトに収録されました。

※以下のアルバムジャケットは楽天のページにリンクしています。

そうなると、人気のある曲だけに、ネタ切れになると頼ってしまうという事もあります。
それでもいいのですけどね、ファンとしては。

ただ、この曲はレッドまでのキング・クリムゾンブルーム以降のキング・クリムゾンのつなぎとなっています。80年代の活動はこの3枚だけなので、この曲の意義は大きいと思います。

聴き比べるとこれだよね

かたい曲が多い。
漢字をあてようとしたのですが「硬い」「固い」「堅い」「難い」どれでもいいように思います。

一番硬い曲は
スリープレス
その他に硬いというかディシプリン的というような曲をピックアップしてみると!
セラ・ハン・ジンジード
フレーム・バイ・フレーム
ディシプリン
ニール・アンド・ジャック・アンド・ミー
ニューロティカ
ザ・ハウラー
サートリ・イン・タンジール
ラークズ・タン・アスピック・パート3

エレファント・トークハートビートスリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーは有名曲ですね。

エイドリアンブリューのソロ作

ブリューさんはこの時期の活動がとっても好きらしく、あるいはとっても力を入れていたらしく
後のソロ活動でもこのころの曲を良く演奏しています。

特にライブで弾き語り、と言うのが多いみたいです。
一番有名なのは スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアー でしょう。
それから ハートビート そして マッテクダサイ

少し硬めのアコースティックギター一本で演るこれらの曲はたいそう趣があります。

クリムゾンの時もいいのですが、ギター一本でもいいですよね。
スリー・オブ・ア・パーフェクト・ペアーは、後年クリムゾンのライブでも弾き語りをやっていますよね。

このあとのクリムゾン(まとめ)

後年のクリムゾンのことですが、この三部作の後にまた、解散のような休止に入ります。
恒例行事なので、もはや誰も驚きませんでした。

ダブルトリオのヌゥーボーメタルはさらに後の話です。
ただ、この三部作からの影響はあるしダブルトリオの母体は今回の4人だすよね。

クリムゾンにしてはメンバーが固まっていた希有な時代でした。

フィリップさん元気かな

2011年に一応引退発表をしたフィリップさんです。
また、何かをやるとは思いますが、とりあえずクリムゾンの復活はないのでしょうね。

でも、きっとのんびりと悠々自適な生活は送っていないのでしょう。
何か、こまごました事をこちょこちょやってるような気がします。

※以下のアルバムジャケットは楽天のページにリンクしています。

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